意味がわからない。


「あっ。」


「っ。」


家の奥からお母さんと昨日の優しそうな女性が現れる。


お母さんが気まずそうに俺を見つめる。



「祐ちゃん?行きましょう。」


俺の手を引く優しそうな女性。


「ごめんなさい。」


泣きながら俺を見るお母さん。


あぁ、俺売られたんだ。

お母さんに。


この人は俺を1億で買ったんだ。


「大丈夫だよ。お母さん。」


家族を助けたいと思った。

だからこれでよかったんだ。

俺が売られたことで家族は助かる。


だけど...


どうして俺なの?

他にも兄弟はいるだろう?


俺だけ売ってもいい存在なのかよ。

ずっと家族のために尽くしてきたのに。

なんで売るんだよ。



俺の中で産まれる感情。



いいお兄ちゃんになんてなってられない。