きのこうどん

そして、ボクの答えも決まっている。
 
「うん。いいよ~。」
 
他に遊びたいことがあってもそれを提示すると彼女がすねることを経験的に知っていた。
 
「じゃあ、私はお姫さまね。」
 
案の定彼女はお姫様ごっこを提案してきた。
 
「うん。」
 
「アキト君は王様。…ですわよ。」
 
「うん。」
 
「でね、紫苑君は赤ちゃんですわ。」
 
「ん?」
 
こうして、ボクら3人のお姫様ごっこの配役が決まった。王様、お姫様、赤ちゃん。
 
「じゃ、王様はお仕事ね。」
 
「王さまって何するの?」
 
「そこに座ってときどき、『ちこうよれ皆の者』って言うの。わかった?…ですわよ。」
 
「うん。わかった。」

とりあえず、ボクは彼女に言われるままにその辺に座り
 
「うむ。ちこぉ、寄れ!」
 
そう言ってあたりを見回した。ちこは来ない。
 
彼女は紫苑のそばで紫苑の頬をつついてたり
ぼんやり眺めたり。たぶん彼女は赤ちゃんと遊びたかったのだろう。
 
「うん。…ちこぉ、寄れ!」
 
飽きてきた。さすがに座ったままこれしか言わないのは退屈だ。むしろ一人でこれで遊んでいたことを思えば、もういいと思う。ボクはよくやった。
 
彼女と、紫苑がどんなやり取りしているのか気になってボクは傍に行った。