きのこうどん

「ここ暗い。」
 
周辺の暗さから彼女は怖がりボクの手を握った。
 
重たい戸を開くとボクはブラックホールを指差し彼女に言う。
 
「ほら、すごでしょ?」
 
「うん。すごい。まっくら。」

他の人が見たらどう思うんだろう。トイレに感激している人。
 
「すげぇでしょ~?これぼっとん便所だよ!
子どもが落ちたら帰ってこれなくなる便所だよ!」
 
あまりの興奮にボクが彼女の手を放そうとするとまた、ぎゅっと握られた。
 
「早くもどろ」
 
昔からそうだったけど彼女は暗い所が嫌いらしい。

部屋に戻ると母さんが

「琉璃さんと話してくるから待っててね。」
 
と言い、部屋を出て行った。今、部屋にはボクら3人しかいない。

「ねぇ、アキト君。」
 
「何?」
 
「遊びましょう。」
 
トイレ観察の興奮にも納まり、ちこはボクと遊ぶように言ってきた。
 
「何して?」
 
この質問は大体が愚問で彼女の答えは必ず
 
「う~~ん。お姫様ごっこにしましょう!」
 
って言うのだ。