きのこうどん

なかなか友達と遊べない日が続く中、彼女に会う日っていうのは楽しみで楽しみで仕方がなかった。
　
よく、
　
「ちこにいつ会える？次、いつ会える？」
　
なんて寝る前に母さんに言ってたものだ。
　
それなのに彼女の住む家は隣町でボクの実家からは遠くてなかなか会えないのが歯がゆて、歯がゆくて。
　
やっと、会えるって分かった日にはうれしさの感情でいっぱいだった。
　
だから、目を開けた時に彼女の顔が見えた時余計に喜んでだのかも知れない。

「ちこ？何でここにいるの？」
　
ボクが起こされたとき目の前に彼女がいる状況がうれしさのあまり理解できず、ちこに聞いたんだ。
　
「何言ってるの？アキトじいちゃん家で集まって、今から一緒に人形劇を見に行くんじゃない！」
　
「そうだっけ？」
　
「そうよ。」
　
そう、彼女の言うとおりボクら母子と、ちこ母子で人形劇を見に行く。
　
本当は分かっていたんだけど、確認したんだ。
　
「人形劇に行くんだよね。」
「そうよ。」
　
ボクはちこと遊びに行く。
　
確認をするだけで楽しい、うれしいって思えることはなかなかない。
　
人形劇のチケットは子どもがいる母親対象の無料券。以前、母さんが職場の同僚から貰ったものらしい。
　
すぐさまボクはリビングに置いてある人形劇のチケットを取りに向かった。
　
リビングではすでに山上じいちゃんがチケットを用意してくれ
「チケットちょうだい！」
と、言うまでもなくしわくちゃの笑顔でボクにチケットを手渡した。