磯野君は、テレビと同じで野球部だ。 丸刈りの4番、もちろんピッチャー。 足も速くて、サッカー部や陸上部からも引っ張りだこだ。 背中で、詳しくは首のウナジ辺りで磯野君を意識しながらの女子バナは、いささかムリがあろう。 「道子、聞いてるの?」 「え?あ…と、なんだっけ?」 ピンチを救ってくれたのはチャイムだった。 慌ただしく席につく途中、 「おはよ」 磯野君が言った。 「…おはよう」 小さな声で答える。 ずるい。 ずるいよ、磯野君。 もう少し意識してよ。 私みたいに…。