木製の万年筆。本体には正嗣の名前が刻まれていた。 「俺は、正嗣が戻ってきた時に復帰祝いで渡そうと思ってたんだ。」 そういってその万年筆を椿の前に置く。 「信じたくなくってさ、病気のこと。だって早すぎる気がしてさ・・・。」 顔からにじみ出る悲しい表情。会議室には重い空気が流れ出していた。 「いつでも、来てください。父も母もきっと喜びますから。」 椿は静かにそう話すと、深山は泣きながら「ありがとう・・・正嗣と美佐子ちゃんによろしく。」といって、万年筆を椿に託した。