「あ・・・夢か・・・。」



正嗣が眼を覚ました時、空は赤と青が混じったような薄暗い色をしていた。



「美佐子・・・」



着替えていない喪服

ぼさぼさの髪と無精ひげ

ずっと一緒だった存在を失い、ただそのまま同じ場所で遺骨を抱きしめていた正嗣の姿は、廃人そのものだった・・・。


そんな彼の眼に、一枚の写真が映りこんだ。
家族3人で旅行に行ったときの写真。
正嗣は、ハッっと意識を取り戻すと、椿を探し始めた。