「私から言えることは、後悔しない生き方を考えろということだけだ。」

「後悔しない生き方?」


「そうじゃ。私達妖怪とおぬしら人間は、生きる時間が違う。妖怪は長く生きることは出来るが、人間はそうはいかない。せいぜい、50年~80年ぐらいじゃろ。だから、生きる中で出来ることは限られてくる。恋愛にしても、勉強にしても、趣味にしても、何でも限られる。だから、後悔しないように、やりたいことをやって大往生できるようにしとくのがよいと思わぬか?」


凛香のその言葉に、正嗣ははっとさせられた。でも・・・


「でも、俺が・・・見えるってわかったら・・・」


不安そうな正嗣の顔に手を当てながら凛香はこういった。

「その時はその時じゃ。女は、その男を本気で好きだったら“すべてを受け入れる”はず。思いを告げてみろ、男じゃろ?一応。」

「一応じゃなくって、正真正銘の男です(怒)」

「それでいい。じゃ、答え楽しみにしておるぞ。」

凛香はそういうと、窓から出て行ってしまった・・・。