そぉっと振りかえると、平然とした顔をして小説を読んでる。



「えっ!? 危ないよ?」



「余裕。動きだしたら、読むのやめるから」



「そうなんだ……」



「あ~、そうそう。パンとコーヒー牛乳でいいから」



「うん……って、なにが!?」



「まさかタダで俺に支えてもらおーとか思ってた? 今日、昼飯持ってきてねーの。おごれよ」



「うっわ……卑怯者! あたしが断れないことをいいことに」



「だったら、この手……離そうか?」



藤くんはニヤリと笑って、あたしの背中から手を離そうとしてる。