あたしは思いきって立ちあがり、机の右端に座っている人のところへと進んだ。



「あの……すみません」



あたしが声をかけると、下を向いて本を読んでいた男の人が、顔を上げた。



……!!!!


ウッソ……この人……あたし、知ってる。









涼しい顔で、あたしを見上げるその人。



メガネの奥の、その静かな瞳に……思わず引きこまれそうになった。



心臓が、ドクドクと激しく鳴りだす。



「……え……と、やっぱりいいです」



なんだか話しかけちゃいけない気がして、あたしは少し後ずさった。