そして、やっぱりお母さんの写真も見つからなかった。 「お母さんの写真は無い」 そう、親父に聞いていた。 それでも、どこかに一枚ぐらい紛れ込んでいるんじゃないかと、淡い期待を抱いていた。 だからこそ、尚更がっかりした。 まるで、心にぽっかりと穴があいたようだった。 両親の写真も、ましてや祖父母の写真も、ただの一枚も見つけ出せなかった。 つまり、わたしには家族の写真が一枚もないということだった。