山頂を目前にして、空は晴れ渡り、空気は冷たい。


『アイコ、行くのか』

『ええ、先に行くね』



「ちょっとまって、おねがい」


慌てたあいかは大声で叫んでいた。


『わたし、まだおわかれのあいさつもしてない』

『大丈夫。これが永遠のお別れってわけじゃない。いつかまた、きっと会えるよ』


「でも、・・」



『あいかちゃん、いい恋するんだよ』



アイコは暗闇の底の小さな窓から飛び出した。