その瞬間、私は突然金縛りにかかった。 身体が動かない。 言葉も出ない。 (ひぃーっ) か、かってに足が動き出した。 (い、いやっ、いやっ、) 私は台所に行くと包丁をつかみ、背中に包丁を隠し持った。 達哉が私を呼んでいる。 (たすけて、お願いよぉ) 私は達哉のもとへ戻り、達哉を見上げた。 達哉は笑みをみせ、それに応えるように私も微笑み返した。 (や、やめて、やめてぇーっ) 私は躊躇することなく、達哉の胸に包丁を突き立てた。