どこへ行ったのか、本当に腹立たしい。 わたしは今にも泣き出してしまいそうなのに。 『大丈夫。そのうち戻ってくるよ』 わたしを誘い、そこにあった長椅子に腰掛けた。 ちょうどいい機会。 未だに話せなかったことを話しておこうと思う。 それは九十九里での出来事。 美智子先生に言われたこともその後のこともまだ話していない。 話の取っかかりを探していると親父が戻ってきた。 私は九十九里での出来事を胸にしまい込む。 そして、話す機会を失ったことを半ばホッとしながら、親父をにらんだ。