「……美智瑠(ミチル)…」




戸惑いに満ちた廉の声。



え?美智瑠?




っていうか……誰?




「久しぶりね。元気だった?」




美智瑠と呼ばれた女性はヒールを鳴らしながら廉に近付く。




「あ、あぁ……」




廉は低く答える。




「部屋を出ていってから……ずっと探してたのよ?あたし、別れたつもりないんだけど」




美智瑠さんは少しきつめの口調で言った。




部屋を出ていってから?




別れたつもりない……?




あたしはその言葉で分かった。




この人……廉の元カノだ。




そりゃ廉だって大人だもん。




元カノの一人や二人……。




「俺はきちんと別れたつもりだ。それに……俺には今、大事な人がいる」




廉はそう言うと、あたしの肩を抱き寄せた。




「ひゃっ!?廉っ……」




「こいつは俺の女だ。美智瑠、お前とどうこうなるつもりはない」