「俺は刑事部のSITにいた」




「SIT?凄いね、廉」




そっかー…。
廉はSITにいたんだ。




「交渉人だったの?」




「いや、俺は突入班だった。あんまり交渉とか得意じゃないからな」




廉は可笑しそうに笑う。




あたしの知らない過去の廉。




見てみたいようで、見たくないような……。




「廉が好きなのは強行突入だもんね」




「あー?なんだ、樹里。喧嘩売ってんのか?」




廉はずいっと顔を近付けてくる。




わ、わーーっ////!




近い近い!!




「どっちかって言えばSATの方が好きだな、俺は」




「SITの時はどうだったの?」




廉は懐かしむように言った。




「まー…SITが嫌だってワケじゃねぇけどな?SITの手に負えなくなって、初めてSATが必要とされる……まぁ、SATの方がやりがいがあるって感じだな」




やりがいがある、か……。




確かにあたし達の仕事は命懸けだけど……それ以上に誇りを持てる。




例えば人質を助けられた時。




殺し屋やテロリストを確保できた時。




街の治安を守るために、あたし達は命を懸ける。




それがあたし達の仕事だから。