「れ、ん」 「可愛い…樹里」 あの後も、なかなか離してもらえず、あたしはずっと彼の腕の中にいた。 「今日、ずっとこうしてる気がする」 「はは。そうかもな」 廉はクスクスと笑いながら、あたしの後頭部を撫でる。 「何か飲むか?」 廉はゆっくりと起き上がると、大きな背中をあたしに向ける。 広くて、頼り甲斐のある背中。 いつもあたしを守ってくれる、大きな背中…。 あたしは知らずのうちに、彼の背中に触れていた。 「?何かついてたか?」 不思議そうに言う彼に、あたしはやんわり微笑んで首を振る。