「廉、もう傷は平気なの?」 無事退院した俺を、真っ先に迎えに来た樹里。 俺は記憶を無くしてから、また彼女に恋をした。 何があっても真っ直ぐに、ただ俺だけを見てくれる彼女に一目惚れだった。 俺は思わずその華奢な肩を抱いた。 「あぁ。行くぞ」 そのまま歩き出すと、樹里は照れ臭そうに俺の肩に頭を乗せてきた。 こうしていると、彼女からふんわりと香る甘い匂いに酔いそうになる。 病院にいる時も、何度も彼女を抱いた。 俺は自制心を保ちながら、家路を急いだ。