「じゃあ、また…な」
「うん…」
最後に熱いキスを交わして、彼の病室を出た。
「樹里!」
後ろから名前を呼ばれ、振り向いた。
「美姫さん…!」
そこには美姫さんと桐島司令官がいた。
見ると、美姫さんは赤ちゃんを抱っこしている。
「雨宮の様子を見に来たんだが…大丈夫なのか?」
「はい。傷も治ってきてますし、順調ですよ」
あたしがそう言うと、美姫さんと司令官は安心したように目を合わせた。
美姫さんの腕に抱かれている赤ちゃんが、クア…とあくびをした。
「娘さんですか?」
あたしがそう聞くと、美姫さんは優しい笑顔を見せた。
「娘の美優よ。樹里は会ったことなかったわね」
美優ちゃんと呼ばれた女の子は、ムニャムニャと口を動かした。
「わー…可愛い……」
美優ちゃんはあたしを見ると、ぱちりと目を開けた。
そっと手を伸ばすと、彼女はゆっくりとあたしの人差し指を握った。
「美優が初対面の人間に泣かないのは初めてだな」
司令官が父親の顔をして美優ちゃんを見る。