「じゅ…」




「ごめんね、いきなり。そろそろ帰……」




そこまで言うと、グイッと腕を強く引かれた。




「なんで、泣いてる?」




「泣いて、なんか…っ……」




ないって言おうとしたのに、そのまま彼に抱き締められた。




「やっ…離して……」




辛いの。




あたしのことを好きでもなんでもない、今の廉に優しくされるのが…。




「……好きだ」




「え…?」




「お前が好きだ、樹里…」




あたしを、好き?




嘘…。




「何言ってるの?廉は、あたしのこと覚えて…」




「そんなもんは関係ない。今の俺が、お前を好きなんだ。」




廉は強くそう言うと、熱いキスをしてきた。




「んっ…れ、ん……」




「好きだ、樹里…」




病室のベッドに押し倒されそうになって、慌てる。




「廉っ…ダメ、こんなところで……」




「この間だって、ここで抱き合った」




腰を引き寄せられて、体が強張る。