†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ


「………」




「樹里」




耳元で優しく名前を呼ばれる。




廉は凄く優しい。




あたしのことを大切にしてくれてるし、愛してくれてる。




だからこそ……言いにくい。




心配かけたくない。




「廉に、心配かけたくないの…」




「お前のためなら、いくらでもしてやるよ」




ほら。
こんな風に言ってくれる彼が、優しすぎて…。




「……最近…誰かにつけられてる気がして…」




「つけられてる?」




あたしはコクリと頷いた。




「一人でいる時に、誰かがあたしを監視してるような気がしてならないの。多分、勘違いではないと思う……」




廉は険しい顔をして、しばらく黙ると、口を開いた。




「……お前が言うなら確かだな。よし、明日から俺の部屋に来い。いいな?」




えっ!?




「れ、廉…何言って……」




「お前を一人にはしておけねぇ。これは強制だからな」




強制って…。
相変わらず、強引な人。




「でも…廉に迷惑が……」




「迷惑だなんて思うわけねぇだろ。俺がどれだけお前を愛してるのか、証明してやろうか?」




廉は悪戯っぽい笑みを浮かべると、あたしのお尻に触れた。




「きゃあっ!どこ触ってるの!?」




「お前が悪い。」




クスクスと笑い合う。




廉、ありがとう……。