「………」
「樹里」
耳元で優しく名前を呼ばれる。
廉は凄く優しい。
あたしのことを大切にしてくれてるし、愛してくれてる。
だからこそ……言いにくい。
心配かけたくない。
「廉に、心配かけたくないの…」
「お前のためなら、いくらでもしてやるよ」
ほら。
こんな風に言ってくれる彼が、優しすぎて…。
「……最近…誰かにつけられてる気がして…」
「つけられてる?」
あたしはコクリと頷いた。
「一人でいる時に、誰かがあたしを監視してるような気がしてならないの。多分、勘違いではないと思う……」
廉は険しい顔をして、しばらく黙ると、口を開いた。
「……お前が言うなら確かだな。よし、明日から俺の部屋に来い。いいな?」
えっ!?
「れ、廉…何言って……」
「お前を一人にはしておけねぇ。これは強制だからな」
強制って…。
相変わらず、強引な人。
「でも…廉に迷惑が……」
「迷惑だなんて思うわけねぇだろ。俺がどれだけお前を愛してるのか、証明してやろうか?」
廉は悪戯っぽい笑みを浮かべると、あたしのお尻に触れた。
「きゃあっ!どこ触ってるの!?」
「お前が悪い。」
クスクスと笑い合う。
廉、ありがとう……。

