「分かったよ。話す」
「うん。お願い」
廉はあたしを腕の中に包み込んだまま、話し出した。
「美智瑠とは…大学の時、同じサークルだったんだ。まぁ…話してるうちに、だんだん仲良くなっていって……」
「付き合った…の?」
廉はコクりと頷いた。
「まぁ…結構上手くいってたんだけどな?卒業間近になって、進路を決める時期になってな。俺は警察官、アイツはIT関係の企業に就職が決まったんだ」
「うん」
「でも…アイツは俺が警察官になることに対して、いい考えは持ってなかった。まぁ、その頃辺りからギクシャクし始めたんだ」
美智瑠さん…廉が警察官になることに反対だったんだ……。
「それからと言うもの、顔合わせる度に喧嘩ばっかりでな。卒業と同時に自然消滅した」
「自然、消滅……」
だから、美智瑠さんは“別れたつもりない”って言ってたんだ。
「大学時代はアイツと同棲してた。だが、卒業してすぐに俺は同棲してたマンションを出た」
「………」
美智瑠さん……。
きっとまだ、廉のこと好きなんだよね…?
「樹里、この事は気にするな。美智瑠とのことはとっくに過去だ。俺が愛してるのはお前だけだ」
「……う、ん。ありがとう」
あたしは彼の言葉が嬉しくて、思わず抱きついてしまった。
「ふっ、泣き虫だな。樹里は」
「いいもん。廉の前でだけだもん」
あったかい体。
男らしくて、引き締まった筋肉。
彼の全てが……あたしを安心させる。