桜の木に呪われたこの体は


ピクリとも動いてくれやしない。


胸に刺さったこの矢が

抜けることはないのだろう…。


あぁ…お父さん…。


私は巫女何ぞにやられて

何とみっともないのか…。


この桜が朽ち果てるをいつまで

待てば良いのだろうか…。


お父さん…私も完全な狼になりたかった。


誰か私を見つけてはくれないか?


ここでずっと眠りについたままなのか?



「あれ…?こんな所に桜なんてあったっけ?」



そう言って桜に触れた少年の言葉に

わずかな希望を覚えた。


もしかしたら、彼が私の呪いを

解いてくれるのではないかと…。


そして、自由にしてくれるのではないかと…。