私は土方さんの手を振り払った。 「これは私の――」 「このアマぁ!」 倒れていたはずの隊士が起き上がり、私に殴り掛かってきた。 「でいっ!」 私は隊士の腕を掴み、背負い投げた。 「ぐはっ」 床に叩き付けられた隊士は伸びた。 「土方さん、これは私闘じゃないですよ。稽古という戯れです」 こう言っておけば、あの隊士達は切腹させられずに済むはずだ。 私はそう言い、道場を出ようとした。