「……さん?早川さんだよね?」



後ろから聞いたことのある男の子の声が聞こえてきて



涙をきゅっと服で拭って、何もなかったように振り返ると



高校の頃、同じクラスで仲が良かった黒田くんがいた。



「く、黒田くん?」



間違ってないかな?と内心少し不安になりながらもあたしはその名前を呼んだ。



すると彼は嬉しそうに微笑んで「そうだよ、覚えててくれて良かった!」と言っていた。



黒田くんとはある日までは仲が良くてよく喋っていたけれど……



ある日を境に喋らなくなっちゃって気まずい関係になっていたから久しぶりに話せて本当に良かった。