座敷わらしのしのぶちゃん♪

4階への階段を上りながらふと、思い出す。


初めてここに来た時、エアーピープルって名前見て、何の会社だろって思ったんだっけ?


私、それすらもよく分からないままこの会社に来たんだっけ?


あの時からあっという間だったな。


事務所に入ると私と同じくらい存在感の薄いヨネクラさんがいてーーー


そしてイケメンなのにどこか胡散臭い社長にあっという間に採用してもらって


そしてーーーー


めちゃくちゃ綺麗なお姉さん。


リョウさんに出会ったんだよね。




4階に上がるとリョウさんの部屋の前に立つ。


インターホンを押そうとするものの、手が止まる。


うっ。


何か緊張してきた。


結局、まだろくに話もしてないし


聞きたいことも沢山あるけど…


何て聞けばいいのか解らないし。


そもそも、リョウさん私の事どう思ってるのかとかハッキリ言わないから…。


なのにキスとかするし


しかもあんな大人のキス…。


恋愛偏差値0の私にはハードルが高過ぎる。


ドアの前で俯いたままあーでもない、こーでもないって考えていると…………









「あのさ、人の部屋の前でブツブツ言うの止めろよ。」


「リョウさん!!」


玄関のドアから半分体を出して、呆れ顔のリョウさんが目の前に居た。


「ほら、入れよ。」


そう言うと私の手を取りあっという間に中へ引き入れ、ドアを閉めるなり玄関先で抱きしめられた。