座敷わらしのしのぶちゃん♪

「「つ、疲れた~~~」」


私達は何とか仕事を終え、会場の隣にあるホテルのカフェに来ていた。


あの後、イケメンが素敵なメイクをしてくれるって、すごい騒ぎになって


終いには急いで整理券配るほど沢山の人が集まった。


サクラ要因として行った私達はエキストラどころかメインとなって動く羽目になってしまったのだ。


「由宇くんすごかったねぇ。こんな特技があったなんて。」


「小さい頃、母さん働いていてずっと1人だったからこっそりね。だけど兼先の家に来てからは兄ちゃんがよく遊んでくれたからやらなくなって。だけど俺が高校入った頃に兄ちゃんが家出ていったから退屈で…。だから家に女の子呼んではメイクしたりして……。」


「そうなんだ…ねぇ、メイクの道とかに進まないの?」


「う~ん、ほら所詮、素人が趣味でやってただけだし…。俺、こんなだけどいずれは兼先の家に恩返ししなきゃなって思ってるんだ。だから学生の間だけは少し好きにさせてもらおうかなって思って、今回このバイトさせてもらってる。」


この子、見掛けよりずっとしっかりしてる。


自分の母親がした事や連れ子である自分の立場ちゃんと解ってるんだな。


私よりずっと大人だよ………。