今日は由宇くんの初仕事。
と言っても大学に通いながらの由宇くんにやってもらう 仕事となると比較的簡単なものしかなく。
取り敢えず、今回は一般企業からの依頼でサクラ的要因としてやってきた。
会場はとても大きな体育館で中に入ると各企業毎にブースがある。
依頼会社のブースを何とか探し、由宇くんとその企業の商品を手に取って見たりした。
今回、会場で催されているのは女性向け商品の展示会で結構、大規模なものだ。
依頼主である企業は天然ハーブなどを取り扱う会社で、今回初めて化粧品部門を立ち上げたらしい。
なので、かなりの力の入れようでそういった事もあり念には念をと、わざわざサクラまで仕込んだと言うことだ。
「しのぶさんて、あまり化粧しないんですね?嫌いとか?」
ブース内にある商品を手に取りながら由宇くんが聞いてくる。
「う~ん、嫌いじゃないんだけど、どうやったらいいのか解んなくて…っでいっつも最低限の事しかしないんだよね。」
私達が商品を見たりしているとチラホラ他のお客さん達が目を向け始めた。
「だったらしのぶさん、俺がやってあげましょうか?」
「ん?何を?」
「化粧を。俺、実はこういうの得意なんですよね。小さい頃、よく母さんの化粧品とかで遊んだりしてたから。高校くらいになるとかなり上達してクラスの女子達にもしてあげましたよ。」
と言うと由宇くんはブースにいた社員さんに何やら話しだした。
社員さんから了承を得た由宇くんが、私を椅子に座らせ借りたメイク道具で化粧をし始めるとーーー
さっきまでは何となく目を向けていただけの女性客が立ち止まって私達を見るようになっていた。
うわっ、ちょっとすごい人だかりだよ…。
恥ずかしい~っ。
「しのぶさん、動かないで。」
「ご、ごめん…。」
さっきまでひょうひょうとしてたのにすっごく真剣な眼差しでメイクをする由宇くん。



