猫を抱き抱える私の目の前に立つリョウさん。
「しのぶ……」
そう言いながら私の顔にかかる髪を耳にかけ
そっと唇を重ねた。
「えっ…………」
唇が重なっていたのは一瞬だけど、間違いなく私のファーストキスだ。
えっ……?
私のファーストキスって、チビ・デブ・猫に見守られてたった今、済んじゃったってこと?
酷くない?
リョウさん一体、どういうつもりなんですかって言おうと思うのに声が出ない。
だけど私の目の前に立つリョウさんは真剣な眼差しでまだ私を見ている。
「リョウさ……ん?」
掠れた声に自分でも驚く。
思考がついていけない。
「しのぶ、必ず助けに行くから俺を、俺達を信じろ。いいな?」
私の顔を両手で覆うように持っていた手を離すとそのままギュッと抱きしめてくれた。
私の腕の中でフランソワーズがフニャっと鳴いた。
リョウさん………
こ、こんな事、初めてで私、どうしたらいいのか………。
上手く息も出来ないよ。
「おい、いつまでラブシーン見せつけるんだよ。助けに行くだと?どこに行くのかも解らねぇのにご苦労だな。」
品の無いニヤつき顔でチビ男はそう言うと、すっと私の後ろに来て歩くように促した。
その間、デブ男はずっとリョウさんに銃口を向けているのでリョウさんもその場から動けない。
暫くして公園脇にまっ黒のセダンが横付けしたかと思うと
フランソワーズを抱えたままの私は無理矢理、車内に押し込まれた。



