野趣好萬葉集(ワイルドヨロズハ)

一一一「昔から恋をうたうという鳥だよね。「ユズルハの御井」の上を鳴き渡ってゆくのは」弓削皇子
・吉野の宮に行った弓削皇子が都にいる額田王に贈った歌。

一一二「昔から恋をうたうという鳥はホトトギス。ひょっとしたら鳴いたのは私が恋をしているからかも」額田王
・額田王が弓削皇子にこたえた歌。

一一三「美吉野の玉のような松の枝は愛らしい。君のみ言葉をもってやって来たのだもの」額田王
・吉野から苔むした松の枝を弓削皇子が贈ったのに対して額田王の返信。

一一四「秋の田の稲穂が垂れているように。片思いでも君に寄り添っていたい、どう言われようと」但馬皇女 2009.0127

一一五「置いてけぼりでも恋しくなんかない(ちゃんと)追いつくから。道の曲がり角にシルシをしておいて、私のアナタ」但馬皇女 2009.0127
・一一五は穂積が滋賀の崇福寺に使わされた時の但馬の歌。但馬は高市の妻とされ、穂積との道ならぬ恋をしていた、しかし穂積の返信は二〇三のみ。

一一六「世間の噂が激しく言葉が痛い。今生では、いまだに越えていない朝の川を越える」但馬皇女 2009.0127
・但馬が高市皇子の宮にいた時、穂積皇子と密かに逢っていたのが露見してからの歌とされる。但馬、高市、穂積はともに天武天皇の子供、高市が長子。

一二三「束ねればほどけ、束ねなければ長い君の髪を、このごろ見ていないので(誰かに櫛で)すかれていないだろうか」三方沙弥 2011.0803
・沙弥(さみ)は出家した男。山田史三方とする説もある。園生羽(そののいくは)の娘を妻としたとあるから還俗していた?

一三三「笹の葉は山の中でザワザワだが。私は妻を思う別れて来たので」柿本人麻呂 2009.0209
・長歌の反歌