三四六五「高麗錦のヒモを解き放って寝ている以上に、どうしろというのだろう? こんなに、いとおしいのを」東歌 2011.1114
・寝るという行為に性交の寓意がありヒモを解くという禁忌がさらに快楽を強調している。テキストの解説の萬葉集の再編集が秀逸。
・生物学的な人間の根源的な歌。

三四六六「いとしくて〈寝〉てしまえば噂になる。〈寝〉なければ心の琴線に触れて、いとしくて切ない」 2011.0421
・「かなし」をどう訳すかの例題のような。番組見てテキスト読んで拙訳を鑑賞していただくと当落がよく解ります。

三五一六「対馬の嶺は下雲がない。可牟(かむ)の嶺にたなびいている雲を見ながら(お前を)思い出そう」東歌 2012.0123
・主眼は「お前を忘れない」だから難しく考える必要はないが、可牟の嶺は未詳、下雲の存在と〈偲ぶ〉ことの関係も不明瞭。よくわからん。

三五二〇「面影の忘れられない間は広い野辺でたなびく雲を見ながら思い出したい」 2011.0915
・秋と言えば月だが雲も秋の雲は哀愁をおびている。

三五三七「杭越しに麦を食べる子馬のパッツンパッツンみたいに。見知りあった、あの娘は、なんてカワイイんだ」 2011.0617
・万葉料理教室。索餅(さくべい)は、そうめんを彷彿とさせる小麦粉を細くのばした料理。ゆで小豆をかけて食べたと想定。餅の名通りお菓子。

三五六九「防人として出発する明け方の門出で手を離すことを名残惜しんで泣いた妻は、ああ」防人歌 2011.1017
・防人は東国から北九州の防衛のために派遣された人々。旅立ちの朝の情景を回想している体を採る。東国の武力が畿内を経て西にゆくのは興味深い。