二五六五「葦垣越しに、ただ1度、目が合った彼女だから千回も悲観的な物思い」 2011.1125
・花ぐはしは葦垣を導く枕詞、香(かぐわ)しいと同様に花の美しい様をいう。正述心緒。萬葉時代の逢瀬の場所。通い婚と、その例外的事象。性的指向と廉恥の問題。

二五七八「朝、寝乱れ髪を私はとかない。いとしい君の腕枕が触れていたものだから」 2011.0609
・髪とか髪をとく行為の呪術性。浦島伝説に象徴されるように櫛笥箱(玉手箱)も霊性がつよい。玉櫛笥は開閉関連を導く枕詞。
・ふと蝉丸の姉に逆髪という女性がいるのを思い出す。いわゆる『宿神論』を導くような。女性の美貌の基準が髪のような時代。髪をとく呪術。

二五八〇「面影が忘れられたら! 男のくせに、こんな恋なんかしちゃって」 2011.0331
・萬葉集の面白さは、このように現代的なものが突如に出現する所。そこを男の普遍性とすると押しつけがましくなるんだよね。テリー氏の釈がさえる。

二五九九「実らない恋をしたものだ。夕方が来ると(他)人の手を枕に寝るだろう女ゆえに」 2009.0126
・萬葉時代の恋は孤悲とも書き離れた相手を恋い焦がれることに焦点があった。結婚形態も夫が妻を訪れる通い婚でよばふと言った。結婚には母親の同意が重要。