一六三〇「高円の野辺のヒルガオ。面影として見えている妻を忘れられないでいる」大伴家持 2011.0613
・かほ花が何か決定案はないよう。アサガオ、ヒルガオの顔花なのだろうが、源氏物語で夕顔は現在のカンピョウの類。花びらが同心円状に広がる顔を連想する花の総称?
・かほ花のかほはヒルガオのガオ、だが花種は未詳。武井咲氏ではないが笑うと咲くは萬葉時代には同根と認識される。満開の花と女性の笑顔。

一六三四「衣の袖に泥水がつくまでして植えた田んぼに引板を私が並べて守っている苦しさ」或者 2011.1124
・寄物陳思で恋の歌。引板は獣害を防ぐ鳴子的なものされる。ハラ(原)は耕作地でノ(野・沼)は非耕作地、水がかりの相反した土地に相似の名。

一六四五「ウチの庭の冬木の上に降った雪を梅の花かなと空見したんだ」巨勢宿奈麻呂 2011.1201

一六五六「盃に梅の花を浮かべて気の知れたダチと飲んでしまった後には逝ってよし」大伴坂上郎女 2012.0215
・737年の禁酒令の中、親密な人たちだけでおこなわれた宴席での歌。当時の禁酒令、酒によるトラブルはテキストの解説に詳しい。梅の異国情緒。

一六六二「淡雪が消えてしまうもののように(はかない私が)今まで生きながらえているのは貴女に会いたいからこそ」大伴田村大嬢 2011.1115
・大伴田村大嬢が異母妹の坂上大嬢に送った歌。大伴は姓、大嬢は長女を田村と坂上は地名で居住地を指すとされる。系図が混んでる。