一一七六「海上潟(うなかみがた)の沖の砂州に鳥は集まって鳴き騒ぐが君からの音信はない」 2011.0802
・「夏麻引(なつそび)く」は海上潟を導く枕詞。海上潟は上総、下総に海上郡があり三三四八では上総と左注される。突然止まる音信。解説は夢について。

一二〇九「人だとしたら母親の愛児だ。紀の川の川辺の妹背山」 2011.1121
・あさもよしは紀伊を導く枕詞。川を挟んだ男女とされる山、母親ならどちらの岸に立つべきなのだろう。『妹背山婦女(おんな)庭訓』では男女は恋愛関係、日本版ロミオとジュリエット。

一二一六「潮が満ちたならば、どうするのだろうか? 海神の神の手元を行き交うような海女の娘子たち」 2011.0729
・アマというと海女、尼のイメーヂから女性を考えるが、現在でも男性の海士(あま)はいる。海に対する畏敬の念と海人の生産というマジック。民俗例も参考に。

一二六三「暁時ですよと夜ガラスが鳴いているが、この山の梢(こずえ)の上は、いまだに静かだ」 2011.0420
・解説では『遊仙窟』からの取材と指摘されている。受験勉強での初めての徹夜明け、空がしらむ前に鳥の声、FMからは夜明けのpops独特な雰囲気を思い出す。

一二九五「春日にある三笠山に月の舟がでた。風流士の飲む酒杯に反射して見えている」 2011.0705
・五七七五七七の旋頭歌。平城京と三笠山の位置を考えると疑問。宵の口に三日月は西、東なら満月。下弦の月を東の空に望むと夜はふけてしまう。解説は下弦だが居待月(十八夜)では?

一四〇五「秋津野に人が亡くなったので朝、散骨した、君が思い出されて嘆きが止まらない」 2009.0209