九〇〇「裕福な人の家の子どもが一通り着てしまって持ち腐れて捨てるような絁(あしぎぬ)や真綿は、もう…」山上憶良 2011.0608
・子どもが小人なのか大人なのか大人でも歌意は通るが歌群的に小人か? アシギヌは太い絹糸で織った粗い布。真綿は絹の綿。

九一九「和歌浦に潮が満ちてくると干潟がなくなるので葦のはえる場所を目指して鶴が鳴きながら飛んでいく」山部赤人 2012.0113
・長歌に対する反歌。万葉文化館蔵の松尾敏男氏「鶴鳴きわたる」の本歌。なんで鶴のことをタヅというの。

九二五「夜が深くなっていくとアカメガシワの生える清潔な河原に千鳥がしきりに鳴いている」山部赤人 2011.1128
・山部赤人の吉野に関する複式長歌の反歌。ぬばたまのは夜を導く枕詞、久木はキササゲとも。小鳥の鳴き声というと夜明けを想像するが千鳥は夜鳴く。