七九三「世間が空虚なものだと知る時は、およよますます悲しいものである」大伴旅人 2012.0321
・本物というのはエートスというよな意味でしょ。テキストで本心と改められているが〈本物〉としても十分に意味が通じるのでは? 思考と表現と享受。あと2回。

八〇四「」2011.1206
・728年に九州の嘉摩郡で山上憶良が世間の住みにくさを哀しんで歌った長歌。題があって序があって年号と署名。憶良の作風というより旅人への書簡が、そのまま本文になったと考えるべきか? 四門出遊を底に周辺の生死と自己の老い氏族の盛衰。

八〇五「永遠に、このようにしていたいと思っていても世の中の理(ことわり)なので留まっていられない」山上憶良 2012.0119
・728年に福岡の嘉摩郡で老いをテーマに詠んだ長歌の反歌。帰納法的に導かれる明日という概念と〈死〉。肉体は滅び詠歌は残る。

八五二「梅の花が夢で言うには「風雅な花だと自分でも思う(だから)酒に浮かべなさいな」」大伴旅人 2012.0131
・730年、太宰府の旅人宅での宴会の後の作。昨日の憶良の歌と時期は程ない。春の晴れやかさと梅の香、自身の老いと亡くした妻。それぞれの孤独。