一「」雄略天皇 2012.0223
・そらみつは大和を導く枕詞。巻頭を飾る歌。雄略天皇の作とされ萬葉集中でも最古級の歌だが、仮託というか説話的に流布した〈雄略像〉を反映しているという。どことなく雄略は天武とかぶるんだよね。宮廷行事としての若菜の献上。

二「」舒明天皇 2009.0121
・舒明天皇が奈良・香具山に登って国見をした時の歌。仁徳天皇の時の国見が有名。国土の安泰と臣民の安寧。舒明天皇は皇極天皇(のちの斉明)を妻とし天智天皇と天武天皇をもうける。萬葉集というか萬葉時代の出発点的な人物。

三「」中皇命 2011.1214
・舒明天皇が宇智野(うちの)に狩りに出でました時に中皇命が間人老に作らせた長歌。やすみししは我が大王を導く枕詞。弓の弦の音の呪力。朝のさわやかな静寂の中に響き渡る弓音。

四「宇智の大野に馬並べ。朝、踏みしめられているであろう、その草深の野を」中皇命・間人老 2011.0708
・万葉文化館蔵の髙山辰雄「弭(はず)の音」の本歌。長歌の反歌。たまきわるはウチの音を導く枕詞。弭は弓の両端だが転じて弦の意では?

八「熟田津の港から船出しようと月明かりを待っていると潮の満ち引きも適合した。今さあ! 出航だ」額田王 2011.0914
・熟田津は愛媛の道後温泉付近の港。古来、歌を詠んで人心を鼓舞するのは天皇としての職能。現代の口パクのように代筆も記録に残る。左注参照。

一三「」中大兄皇子 2011.0519
・中大兄皇子の長歌。大和三山(天香具山・畝傍山・耳成山)の三角関係から当代の現状を見る。題詞に注目。天智、天武、額田王の関係は漫画にも取材される。恋愛もさることながら政治史としても注視すべき事象。解説には萬葉集に見える三角関係を例示。