野趣好萬葉集(ワイルドヨロズハ)

三四三「かえってヒトでないなら酒壺にでもなりたいものだ。酒が染みるだろうから」大伴旅人 2011.1031
・讃酒歌の1。輪廻転生が最先端の思想として入ってきた時代の酒壺に生まれ変わりたいという感覚。酒壺は考古学的には瓶子か? 根来は陶器の写しの側面が。

三四八「この世でのみ楽しいのであれば来世には虫にも鳥にもオレはなってやろう」大伴旅人 2011.0725
・讃酒歌の1つ。輪廻転生という比較的新しい前提条件と飲酒による意識の混濁。古事記の地続きな他界感は、どの程度さかのぼれるのか? 古墳という死の象徴。

三四九「生きる人は、いずれは死んでしまうものであるので。今、存命の内は楽しくでありたい」大伴旅人 2011.0510・2011.0629
・讃酒家の1。萬葉集には珍しく七五で切れ無常観を増している。現代的無常観というべき動的平衡を下敷きに、この歌を鑑賞すると酒が飲みたくなる。
・讃酒歌の1。日本の古来からの死生観、新しい仏教の無常、それとは別に生の感覚による死の自覚。死というテーマ。

三五〇「黙っていて、かしこぶるのは酒を飲んで酔い泣きするのに全然及ばないんだよ」大伴旅人 2011.0830
・讃酒歌の1。井筒氏の大きな杯を廻し飲みというのはリアリティーがある。濃茶の手前のよう。解説は酒にまつわる萬葉歌。三九七三、三八二九、五五四。

三五一「世間を何に喩えよう。朝の船出、漕ぎ去った船の航路の見えないようなもの」沙弥満誓 2009.0119
・満誓の俗名は笠麻呂、美濃国司や尾張国などの按察使をつとめ出家し九州・筑紫観世音寺の造立の任に当たり、この時、大伴旅人・山上憶良などと歌をかわす。