野趣好萬葉集(ワイルドヨロズハ)

二〇八「秋山の黄葉(もみぢ)が繁っているので迷っている。妻を求めている山路も知らないのに」柿本人麻呂 2012.0120
・泣血哀慟歌と題される複式長歌の短歌。モミジの黄色が〈死〉のメタファー、山路が死後の世界への道を暗示。一五八の山吹の歌と構造的相似。

二一一「去年見ていた秋の月夜は照らしているのに一緒に見た妻とは、ああ年を隔ててしまった」柿本人麻呂 2011.1107
・泣血哀慟歌と題される複式長歌の短歌。季節の循環の再現性と帰納法としての他者の存在と、その欠如。とすると記号論過ぎるか? 選者の実体験。

二一八「シガツコ(という采女がこの世を)辞退した道。川の浅瀬の道を見れば淋しいものだ」柿本人麻呂 2012.0125
・楽浪(さざなみ)のは志賀を導く枕詞。吉備津采女に対する挽歌の長歌の短歌。采女は地方豪族の才色兼備の子女、天皇直属で他の男からは隔絶。