「朝練は?いかねーの?」 少し鼻をすすりながら、緒川くんは言った。 「……ちょっと、色々とあってね。」 そう言ったとき、あの美歌の残念そうな顔が浮かんだ。 「ふーん。まぁいいけど」 鼻を少し赤くして、緒川くんはニカッと笑った。 なぜ、訊かないんだろう。 昨日のことを。 絶対に、訊かれると思った。 あたし、この人のメアドを知らないから、“貧血”ってことも言っていない。 ……まぁ、聞かれることもなかったら、ウソをつく必要ないから有難いんだけど。