ごめんね。
小さくなっていく背中にそう謝った。
ウソをついてしまった。
ウソをついた理由。
それは、自分に自身がなかったから。
美歌の笑顔を見ていると、悲しくなるから。
また、将来のことを聞かれたら、どうしようとか。
結局、あたしは美歌から逃げたんだ。
あたしは、弱い。
――『ウソをつく人にだけは、なってはダメよ』
去年、亡くなった祖母が言っていた。
あたしが遊びに行くと、口癖のように言っていた。
優しくあたしの頭をなでながら。
あの暖かい手は、もう無いのだけれど。
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