「あ、麗紀!朝練、行かない?」 少し暗かった空気を変える様に、いたずらっ子みたいな笑顔で美歌が言う。 なにも疑っていない様子で。 「……ごめん、美歌。あたしちょっと先生に用があるから」 本当は、先生に用事なんてないんだ。 あたしの言葉に、美歌は少し残念そうな顔をした。 でも、すぐいつもの笑顔に戻る。 「そっか。じゃあ、あたし行って来るね!」 そう言って美歌は音楽室の方へ走っていった。