オレンジ色に染まっている木も、道に咲いている花も。 色鮮やかだったはずなのに、今は、白黒に見えるんだ。 「貧血って言ってたけど……本当なの?」 少し不機嫌そうに、美歌が言った。 貧血で病院っていうのは、ちょっと大げさだったか。 「……ホントだよ」 短い言葉で返した。 そうじゃないと、全てを話してしまいそうになる。 「そっか……。でも、あんま無理しちゃダメだよ?」 「うん」 美歌は納得してないようだったけど、深くは訊いてこなかった。