すぅっと小さく深呼吸をした。
「……好きだった」
ぼそりと、小さくつぶやく。
早く、この気持ちを伝えていればと、何度も思った。
でも、この気持ちは、栗田を苦しめたかもしれないんだよな。
……だから、これでいいんだ。
また、涙が溢れそうになる。
でもそのとき、優しい風が吹いて、涙を乾かしてくれた。
もう、くよくよしない。
お前の言うとおり、笑顔で生きていく。
お前と見た景色を忘れないように。
お前の言葉を、忘れないように。
「……それじゃあ、また来るな」
そう言って俺は微笑んで、栗田の墓を後にした。
END