ゆっくりと、栗田の墓に向かう。 さっきまでは、足が重かったのに、なぜか今は少しだけ軽い。 「……よお、久しぶり」 栗田の墓の前に立って、ポツリとつぶやく。 もうすでに、花瓶には花を生けてある。 きっと、栗田のお母さんだろう。 俺はそっと、自分が持ってきた花束を、栗田の墓に置いた。 その時、墓の上にひらりと桜の花びらが落ちた。