「えっ……そんな……頭をあげて……」 少し焦ったような、声が聞こえる。 「この手紙を、届けてくれて……ありがとうございます……」 声が、震える。 涙も、溢れそうになる。 「こちらこそ、ありがとう……。麗紀は、あなたと出会えて本当に良かった……と、私は思います」 その言葉に、俺はゆっくりと頭を上げる。 「……それじゃあ……」 そう言って、栗田のお母さんは優しく微笑んだ。 「本当に、ありがとうございました」 そう言って、俺は栗田のお母さんと別れた。