星柄のその封筒を俺は受け取る。
そして裏側を見ると、綺麗な字で小さく“緒川くん”と書かれていた。
「……これ、麗紀のカバンの中に入っていたのよ……。美歌ちゃんのも入っていてね……。きっと、学校であなたと美歌ちゃんに渡すつもりでいたのね。……でも……」
そこまで言って、麗紀のお母さんは「ごめんなさい」と言って涙を拭った。
「素直に自分の気持ちを伝えるのが苦手な子だったから……」
「…………」
きっと、栗田はたくさん苦しんだんだ。
たくさん悩んで、苦しんで。
なのに、俺に向けてくれたのは、切ない笑顔で。
「……ありがとうございます……」
そう言って、俺は頭を下げた。



