もしかしたら俺は、栗田の秘密を知るのが怖かったのかもしれない。 知ってしまったら、何か大切なものを、失ってしまうじゃないかって。 でももう、そんなこと考えたって遅い。 もし、秘密を知ってしまうのが怖かったとしても、訊くべきだったんだ。 俺から、なにを抱え込んでいるんだと訊くべきだった。 「……くっそ……」 こんな自分が情けなくて仕方がない。 思わず、花束を持った手に力が入った。