ああ、あたしは、幸せだ。 ふと、そう思った。 大好きな人たちに囲まれて、このときを迎えることができた。 もう、意識は朦朧としている。 「最期の、言葉を……」 先生が、そう呟いた。 「麗紀!いや……!!麗紀!!」 美歌の、大きな声が響く。 「いやだ……!いやだ、麗紀……!!」 「おい、栗田!!!」 二人の大きな声が、やけに遠く感じる。 「麗紀……麗紀……」 お母さんが、優しく呟いた。 お父さんは、あたしのもう片方の手を握って、泣きながら、覚悟したようにゆっくり頷いた。