ああ、もう、本当に、終わりなのかもしれない。
あたしは、もう――……
「……んだよ、それ……」
その時、苦しそうな声が聞こえた。
「栗田……お前、まだ、やりたいことあんじゃねぇのかよ……」
緒川くん……。
彼の顔を見ると、泣きそうな顔をしていた。
彼はそっとあたしに近づいて、やさしくあたしの手を握った。
「まだ、たくさん話したいことがあるんじゃねぇのかよ……」
ぐっと、手に力が込められる。
「俺だって……まだ栗田に話してぇことたくさんあんだよ……なのに……なのに、最期ってなんだよ……」
そう彼が言った瞬間、あたしの手にポツリと冷たい何かがあたった。



